
充電ステーションで充電中の電気自動車=中国・北京(AP)【拡大】
タイのバンコク、ベトナムのハノイ、インドネシアのジャカルタなど大気汚染がひどい地域は多く、各国はかなりの影響が出ることは自覚しながらも、規制強化に動くように思われる。その際、これまで日系自動車メーカーが優位に進めてきた地域に対し、欧米中はEV・PHEVを武器に、一気にシェアを奪おうと考えることはありえる。まさに、オセロゲームのASEAN版である。
もし、各地で攻め込まれると、欧州、中国、ASEANという収益源がなくなり、経営的に厳しい状況に陥る。もちろん、日系自動車メーカーだけでなく、日系自動車部品メーカーも同様である。
オセロゲームの必勝法は、隅を押さえ、確定石(二度とひっくり返されることのない石)を増やすことだと言われている。これに従えば、どこが隅であり、どうやって確定石を押さえるのかなど、戦略が重要になってくる。自動車産業のこれまでの系列方式は次第に終焉(しゅうえん)を迎え、日系自動車メーカー、日系自動車部品メーカーとも、従来とは異なる考えで、どこにどうやって出ていくのか。
まさに大航海時代が近づいてきている。
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【プロフィル】和田憲一郎
わだ・けんいちろう 新潟大工卒。1989年三菱自動車入社。主に内装設計を担当し、2005年に新世代電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」プロジェクトマネージャーなどを歴任。13年3月退社。その後、15年6月に日本電動化研究所を設立し、現職。著書に『成功する新商品開発プロジェクトのすすめ方』(同文舘出版)がある。61歳。福井県出身。