自然発火しやすい資源どう運ぶ? 川崎重工、豪州の褐炭を日本へ輸送 水素社会を下支え (2/3ページ)

川崎重工業が開発を進める液化水素運搬船の完成予想図。2020年から実証を行う計画だ
川崎重工業が開発を進める液化水素運搬船の完成予想図。2020年から実証を行う計画だ【拡大】

  • トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「ミライ」。川崎重工のプロジェクトが実用化すれば運搬船2隻でFCV300万台分の水素を供給できる見通しだ

 常温で気体の水素は、そのままだとかさばりすぎて日本に運べない。そこで川崎重工は、セ氏マイナス253度に冷やして液化し、体積を約800分の1に抑えて運ぶことを想定。特殊ステンレス製で二重構造をした専用タンクと、それを搭載するタンカーの開発を進めている。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助を受け、20年に1250立方メートルのタンク1基を搭載した運搬船を使って実証を開始。30年には4万立方メートル×4基に規模を拡大して商用化したい考え。既に1250立方メートルのタンクを播磨工場(兵庫県播磨町)で試作済みだ。プロジェクトの推進にあたっては、Jパワー(電源開発)や岩谷産業、シェルジャパンも協力している。

 再生エネ下回るコストに

 運んだ水素の用途として想定しているのは水素発電だ。経済産業省によると、水素発電は20年代に本格導入が始まる見通し。日本では現在、化石燃料を改質して燃料電池車(FCV)などに使っているが、それだけだと追いつかなくなるのは確実だ。

 これに対し、川崎重工のプロジェクトが実用化すれば、2隻が1年間、オーストラリアとの間を行き来しただけでFCV300万台分のエネルギーを賄える計算。運搬船が日本の港に接岸するまでのコストは1立方メートル当たり29.8円と、液化天然ガス(LNG)よりは高いものの、太陽光や風力といった再生可能エネルギーを下回るとみられる。

川崎重工「液化水素に関してだけで約30年の実績や知見がある」