
ナノルクスが開発したカラー暗視技術を実装したイメージセンサーと、祖父江基史社長(右)、開発者の永宗靖取締役=茨城県つくば市【拡大】
「死の谷」を越えて
事業化には苦労した。基盤技術は完成したものの、創業初期のベンチャーが資金や人材の確保などで苦しむ「死の谷」に悩まされた。設立当初、永宗氏やほか創業メンバー3人がそれぞれ資金などを出し合って開発したが、なかなか実用化のめどが立たず事業継続が危ぶまれた。
そんな中、2015年6月に永宗氏は、ベンチャー支援組織のTXアントレプレナーパートナーズ(TEP、千葉県柏市)が主催した投資家へのプレゼンイベント、ベンチャーピッチに登壇。TEP副代表理事の祖父江基史氏と出会う。祖父江氏は「防犯などの安心・安全な社会の構築に非常に役立つ」とナノルクスの技術を高く評価した。
「やるからには経営もスピードをあげて、この技術の実用化を後押しする」。同年秋、祖父江氏がナノルクス社長に就き、顧客開拓や試作品の製作を早急に進める。翌年、実用化の目途が立って資金調達に動き、あるベンチャーキャピタル(VC)から出資の合意を取り付けた。しかし、必要資金が送金されないトラブルに見舞われ再び窮地に追い込まれる。