
東芝本社が入るビル=東京都港区【拡大】
過去の投資の減損処理で巨額損失の計上も迫られかねず、「武闘派」のミリガン氏もさすがに焦ったか、態度を軟化させた。東芝関係者は「排除表明がボディーブローのように効いた」と話す。
東芝は6月下旬、韓国SKハイニックスを含む「日米韓連合」と優先交渉に入った。経済産業省の意向が強く働き、いったんは流れができた。
だが合弁相手のWDは、競合するSKが入る日米韓連合を容認せず猛反発し、係争が激化。東芝社内でも、東芝メモリ社長を兼務する成毛康雄副社長らが反WDに回り、意見対立が深刻化した。8月中旬ごろには売却を諦め新規株式公開(IPO)を目指す「プランB」まで浮上した。
「やれるものならやってみろ」。もたつく東芝経営陣に主要取引銀行はいらだち、綱川氏に厳しく詰め寄った。再建支援は、来年3月末までに売却を完了し、その利益で上場廃止の回避に不可欠な債務超過を解消することが前提。時間がない。
綱川氏は「(成毛氏らを)必ず説得する」と約束し、WDを入れた枠組みにかじを切った。米ファンドなどから「余計な口出しをしてかき回している」と批判が噴出した経産省は途中から「東芝が自分の判断で交渉すること」(世耕弘成経産相)とトーンダウンした。