受験生は、景気状況にも左右される。サラリーマン希望者は社会科学系に流れ、社会の動きに敏感な者は、保健医療系、スポーツ科学・健康系へと流れる。国際社会や技術革新、農業・食品、情報関係など新時代の課題に興味を持つ若者も増えている。そのための学部の設置は年中行事化している。
日体大は、「身体にまつわる文化と科学の総合大学」であるがため、大学の建学の精神、理念、ビジョン、社会的役割と離れた学部を設置する考えはない。トレンドに乗るために、残念ながら理念を無視した学部を新設する大学も散見する。岡山理科大にとって、獣医学部設置は理念に沿った行動であったかどうかの議論を耳にしないのは、なぜだろうか。
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【プロフィル】松浪健四郎
まつなみ・けんしろう 日体大理事長。日体大を経て東ミシガン大留学。日大院博士課程単位取得。学生時代はレスリング選手として全日本学生、全米選手権などのタイトルを獲得。アフガニスタン国立カブール大講師。専大教授から衆院議員3期。外務政務官、文部科学副大臣を歴任。2011年から現職。韓国龍仁大名誉博士。70歳。大阪府出身。