
尿量から排泄のタイミングを知らせるディーフリーを装着したところ(SOMPOケアネクスト提供)【拡大】
同社の担当者は「機器を使えば排尿のタイミングがあらかじめ分かりスタッフの排泄介助に失敗がない。オムツ使用数は約35%程度削減された。肌も清潔に保たれ感染症も減った」と胸を張る。そして、「何よりスタッフの排泄介助の回数が約3割減少した」と効果を語った。
機器利用の背景にあるのは、介護職員の離職率の高さだ。
公益財団法人「介護労働安定センター」が行った調査(回答事業所数は6525施設)では、2015年10月からの1年間に全国の介護職員の16.7%が退職。全産業平均の15%(16年)を上回った。仕事の負担感が強く、離職者が目立つ職場環境では、「スタッフが頻繁に入れ替わって介護レベルが下がりかねない。水準維持のためにもITの力を借りることにした」と担当者はいう。
排尿センサーのほか、同老人ホームでは天井のセンサーで体動を把握し、入所者がまったく動かないといった異常を検知すれば、スタッフのPHSに連絡が入る「浴室見守りシステム」を導入。また「居室見守りシステム」は5つのセンサーをベッドやドアに設置。体動や脈拍、呼吸を常時監視する。
担当者は「(IT化で)残業が減るなど職場環境の改善が離職防止にもつながる。新人の採用や育成のコストなどを考えれば4、5年で投資分の回収は見込める」と語った。