「iPhone X」「iPhone 8」のどちらを選ぶべきか 実機で感じた決定的な違い (3/4ページ)

 例えば、iPhoneのエコシステムを基礎部分で支える「アプリ」をシンプルに保つよう工夫をしていた。一例としては、ディスプレイのRetina化においては一気に画素密度を2倍にすることで、互換性と先進性の両方を担保するなどの工夫がある。

 もっとも、iPhone 6で5.5型の「Plus」が加わったことにより、このルール……開発側のインパクトを最小限に抑えながら進化していくやり方……にも破綻が生じ始めていた。ティム・クックCEOが「次の10年」について言及したのは、iPhoneシリーズを育てるために自ら課してきた制約を取り払い、新しいスタート地点を定義することで、新たなる推進力を得ようという意図があったからではないだろうか。

 彼は故スティーブ・ジョブズ氏の言葉を引用しながら「ボールを追いかけるとき、他の誰かを追いかけるのではなく、みんなが向かうところを目指して走る」といったニュアンスの言葉を話した。成熟したiPhoneのコンセプトを見直し、新しい目的地を目指すための新しい枠組み、それこそがiPhone Xだ(もちろん、Appleがそう言ったのではなく、筆者がそう感じたということにすぎないが)。

 iPhone 8は、iPhoneが10年で到達した成熟を味わえる製品だが、iPhone Xは大きく異なる。iPhone向けに開発されたハードウェア、ソフトウェアのプラットフォームや開発者コミュニティーを大部分で共有しながらも、互換性や操作の共通性などを意識して課してきた制約を外し、再設計した「iPhone Xという新しい製品シリーズ」と考えた方がいいだろう。

 制約を外せば、10年前よりはるかに進んだ「現時点の技術とビジョン」を元にプラットフォームを整理できる。今回のiPhone Xが、どこまでApple自身の考える将来ビジョンを反映できているのかは判断しかねるが、しかし新しい10年を進むためのスタート地点として用意した別モデルという印象は、決して外してはいないと思う。

 ただし、Appleのこの提案が開発者たちの心を捉えるかどうかは、まだ分からない。iPhone用アプリをiPhone Xに対応させるには、オリジナルiPhoneに対して3倍の画素密度や縦に伸びた新しいアスペクト比などをサポートせねばならず、ものによってはユーザーインタフェースの再設計なども必要になるだろう。

 iPhoneのAndroid端末に対する利点として、多くの端末で最新OSが動作し、最新機能を生かしたアプリを作りやすいという点があったが、あるいはiPhone Xがそうした部分を分断する存在になるかもしれない。

iPhoneの買い替えならば、iPhone8シリーズをすすめる