“高校生のたまり場”から一転 不人気だったガストが再び成長している理由 (3/3ページ)

 しかも、ファミレスなら居酒屋のようにお酒を飲まなくても“浮く”ことはないので、お酒を飲む人と飲まない人が気まずくなく一緒に居られる。世の中のお酒離れが進むほど、居酒屋より有利になるだろう。

モーニングのメニューは21種類

 ガストではモーニング(朝の時間帯のメニュー)の強化をはかり、今では21種類ものモーニングセットを出している。モーニングが売りの名古屋の喫茶店ですら、ここまでの種類を出す店はなかなかないだろう。

 一番安いのが、299円の「トースト&ゆで卵セット」(ドリンクバーと日替わりスープ付き)。メニューの多くがワンコインで収まる値段で提供されている。コンビニでサンドイッチとコーヒーを購入すると、400円近く掛かってしまうのでこれはお得。

 しかもトーストセットだけでなく、和食のご飯セットやドリア、ピザのセットもある。セットの厚切りトーストを、プラス100円でパンケーキに、プラス250円でフレンチトーストにそれぞれ変更することもできる。

 このように、夜は居酒屋の顧客、朝は喫茶の顧客を取り込む戦略が功を奏して顧客層の幅が広がっている。

 また近年は、期間限定メニューとして、フォアグラを使った料理や牛肉の希少部位を使ったミスジステーキなど1000円を超える「プレミアムメニュー」の提供にも取り組んでいる。ガストにしては高級な食材を使ったメニューは、今まで取り込めていなかった40~50代を新規に開拓する狙いがある。

 ガストは内装のリニューアルで落ち着いて食事ができる環境を整えると共に、メニューでは年齢ごとに最適な商品を、適切な時間帯で提供しようと意識しながらブラッシュアップしている。従来のファミレスの領域を超えた、マルチターゲットレストランへと変貌を遂げる革新の方向性が消費者に支持されているのだ。

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ) 兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。