【高論卓説】応酬、紛糾なく会議を効率化 合意形成できる4つの質問 (2/3ページ)

 例えば、方針説明が行われたら、進行役は、洗い上げ質問を繰り出す。「ただいま説明のあった方針に対して、気になる点はありませんか」「遠慮なく異論を挙げてください」という質問だ。1時間の会議で、10人の参加者であれば、15分で、異論や懸念は出尽くす。

 洗い上げ質問の次は、掘り下げ質問だ。「出された懸念の中で最も深刻なものはどれですか」「5つの異論の中で、どれから議論していきますか」という質問だ。仮に最も深刻な懸念が「その方針を実行するための人手が足りない」ということであれば、「○○という方法で△△部に依頼して、もし人手を確保できるのであれば、賛成ですか」というように、ある前提を置いて方向性を示唆し、同意確認する方法が示唆質問だ。

 そして、結論もトップダウンではなく、「それでは人手が確保できる前提で賛成ということでよろしいですか」というように質問でまとめる。この方法を紹介すると、よくあるリアクションが、「異論や懸念をいきなり洗い上げるなど、寝た子を起こすことにならないか」というものだ。実は、寝た子を起こすのは、異論や懸念を洗い上げるからではなく、異論や懸念に対してその都度応酬するからだ。洗い上げ質問では決して応酬しないで、洗い上げに専念する。応酬しないから紛糾しないのだ。

 質問だけで進行するから、発言しやすくなるので、見せ掛けの合意に陥ることが少なくなる。これまでトップダウンで方針を強要してきた組織ほど、この方法の効果が高い。今日のビジネスパーソンの参画意欲を刺激する有効な方法なのだ。

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