割高なのになぜ人気? 「ドミノ・ピザ」が再び急成長しているワケ (3/3ページ)

 さらに同社は早い段階から、Webから注文できるように顧客を誘導してきた。15年からは「LINE」と提携し、スマホで簡単に注文ができるようにしている(LINE経由の売り上げは開始から1年で2億円を超えた)。

 電話での注文では、どの生地を選ぶのか、トッピングはどうするのか、どこに届ければいいのか、全部スタッフが聞き出して、入力しなければならない。これが結構な手間で時間と人手がかかった。

 Webからの注文を増やすことで、省力化につながるほか、顧客データの蓄積が容易となるため、マーケティングにも生かせる。このようにテイクアウトの強化とWebからの注文増加が業績アップを支えている。

メニューも強化

 企画力が高い商品を出していることも、客から支持を得ている要因の1つだ。例えば年初では、冬の季節商品として、マヨネーズの総量を通常の“3倍”にした「クワトロ・漢(おとこ)のマヨネーズ」、ピンクの明太子マヨネーズが特徴の「クワトロ・乙女のマヨネーズ」、激辛の「クワトロ・鬼女のマヨネーズ」といった、3種のマヨネーズシリーズを販売。話題を集め、売り上げも好調だった。

 また、サイドメニューも強化。ハンバーガーにはフライドポテトやチキンナゲット、ドリンクというセットの組み合わせで一食という感覚があるが、ピザにはそうした感覚が浸透していなかった。そこで、ポテト、チキン、サラダ、スープといったサイドメニューを強化して、ピザとセットで注文してもらうチャレンジを続けている。

 サイドメニューの商品力も高い。今年7月には、従来「ホットサブ」という商品名で販売していたピザの具材が入った、ホットドッグ感覚のサンドイッチを「ピザサンド」とリポジションして販売。これは、1人ではピザ1枚を食べ切れない女性を意識した強化商品である。

 こうした特徴的な商品の開発を矢継ぎ早に行い、他社と横並びの状況から抜け出す戦略を進めている。テイクアウトの強化と、ユニークな商品開発力で新需要を開拓し続けるドミノ・ピザは、今後もさらなる成長が期待できそうだ。

■著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ):兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。