訪日外国人客の需要増で好調を維持する航空各社が、法人向けの出張関連ビジネスを強化している。航空チケット購入や宿泊料金などの経費を一元管理したり、ポイントで実質的に値下げしたりするサービスで顧客の囲い込みを図る。多様な収益源を確保することで、季節変動や地政学リスクも伴う観光客頼みからの脱却を図る。
日本航空は、国内外のクレジットカード2社と提携し、専用法人カードの運用を4月から始めた。航空券だけでなく、同カードで支払ったタクシー料金やホテル代までの出張費決済が一元化できるシステムだ。導入の理由について、日航の担当者は「顧客からの要望が強かった」と説明する。
日航は世界最大級となる270超の航空路線の決済システムを法人向けに提供してきたが、契約会社にとっては他の出張経費と支払先が分散するのが欠点だった。今月1日からは、日航便の搭乗手続きをビジネスクラスのカウンターで行うサービスも始め、同システムでの2021年度の航空券取扱額目標を1000億円と定めた。
全日本空輸も9月、法人向けの国内線インターネット出張手配システム「ANA@デスク」のサイトを一新。スマートフォン対応に加えて英語版を新設した。現在の同システム利用者数は400万人超と年間の国内線搭乗者の約1割で、サービス拡充で外資系企業の日本法人など新規需要の取り込みを図る。