【高論卓説】長期安定政権の利点 強い求心力、高める政策実現性 (2/3ページ)

 希望の党の候補者は、実態はほぼ民進党からの離脱組だ。かつて、スキャンダルに苦しむ自民党で、外相などを歴任し清廉潔白な伊藤正義氏が総理・総裁に推されたが、「本の表紙を変えても中身を変えないと駄目だ」と固辞した。表紙だけ変えて何とかしようとする前原氏も小池氏も甘い。ただ、小池氏としては、前に出ても逆でも勝ち目はなく、今回は解なしだったかもしれない。

 なお、私の政治的スタンスとは明確に異なるが、枝野氏の動きは尊敬に値する。「話が違う」と見るや瞬時に新党結成を決断し、明確な選択肢を国民に与えた。各種調査からも、私見としても立憲民主党は、一定の存在感を持つことになると思う。

 最後に、安倍総理だが、私は抜本的な日本のつくり直しが必要だと考えており、必ずしもこれまでの政権運営に満足してはいない。ただ、あのどん底の民主党政権時から日本を建て直したことは評価に値する。今回の解散も大義がないといわれるが、本音にある憲法改正の望みをつなぐため、あるいは妙な政治家に国を委ねないため、勝つタイミングを探るのは総理として当然である。

 今回はどう考えても、他党に飛びつくより、与党を代えない方が国益にかなう。長期安定政権は、経済面・安保面で国際社会に翻弄されるわが国として死活的に重要だ。視聴率稼ぎのみ考えるマスコミに踊らされ、代えた後を考えずにスキャンダルで政権をつぶすのは、天に唾する行為だ。中身なく「日本を変えたい」と連呼だけして地位を求める政治家を、われわれは選んではならない。

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