損保各社に新たな懸念 日産・SUBARUの無資格検査が思わぬ飛び火も 新車販売落ち込みは保険の売上げに直結

スバルの本社=東京・恵比寿
スバルの本社=東京・恵比寿【拡大】

  • 完成検査問題に関する記者会見で謝罪する日産自動車株式会社の西川広人代表取締役社長兼最高経営責任者=17日午後、横浜市西区(納冨康撮影)

 米国のハリケーンで大きな打撃を受けた損害保険大手グループ各社だが、新たな懸念も浮上している。日産自動車やSUBARU(スバル)の無資格検査問題が思わぬ形で飛び火しかねないからだ。

 「販売停止の長期化や客離れが加速すれば、影響が出る可能性はある」

 損保大手の担当者はそう懸念する。日本では保険を販売する代理店を自動車メーカーのディーラーが兼務していることが多く、新車購入と同時に自動車保険に加入することが多い。そのため、新車販売の落ち込みは保険の売り上げに直結する深刻な問題なのだ。

 SOMPOHDの辻伸治副社長は17日の記者会見で、「(売り上げの)減少は当然出るが、消費者への被害は出ておらず、社会が許せば落ち込んだ分は取り返せる」と強気。下期の見通しにも無資格検査問題の影響は織り込んでいないという。

 今後気がかりなのは、日産とスバルのリコール費用。自動車各社はリコール保険に加入しているからだ。両社のリコール費用は計450億円ともいわれ、保険金の支払いが発生した場合、損保大手の経営にも打撃となる。

 ただ、今回のケースは無資格の従業員に新車の完成検査をさせていたという不正行為が発端になっている。リコールも物理的な不具合ではなく再検査のためで、MS&ADHDの柳川南平専務は「(保険金の支払いは)難しいのではないか」と牽制(けんせい)した。(蕎麦谷里志)