「赤字2億円以下」が存続の条件 秋田内陸縦貫鉄道のおもてなし経営とは (1/2ページ)

秋田内陸縦貫鉄道の阿仁合駅では、台湾からの団体客が下車した=11月6日、北秋田市
秋田内陸縦貫鉄道の阿仁合駅では、台湾からの団体客が下車した=11月6日、北秋田市【拡大】

  • 秋田内陸縦貫鉄道の阿仁合駅では、台湾からの団体客が下車した=11月6日、北秋田市
  • 秋田内陸縦貫鉄道の吉田裕幸社長

 角館から鷹巣までの94・2キロを急行なら約2時間で結ぶ秋田内陸線は、山間を走る車窓が美しいローカル線として国内外に知られている。拠点駅の阿仁合には11月初旬のある日、台湾からの団体客、31人が降り立ち、バスで周辺観光に向かった。車中ではスマートフォンで、車窓を熱心に撮影する姿が目立った。

 車中サービスは、沿線地域と連携したおもてなしが特徴。10-11月限定の「栗まんま弁当」(1200円)は、沿線産の西明寺栗をふんだんに使い、角館の旅館・花葉館が調理した。

 車内アテンダントは、弁当などの物販と観光アナウンスを兼ねる八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍ぶり。大ヒットしたアニメ映画「君の名は」に登場する駅にそっくりと話題になった前田南は「今もファンの方がいらしてます」。阿仁前田駅直結の日帰り温泉「クウィンス森吉」については、「私も昨日、温まってきました」と太鼓判を押す。

 内陸線は旧国鉄時代の昭和9年、阿仁合線として鷹巣-米内沢間、昭和45年に角館線として角館-松葉間がそれぞれ部分開業するなど断続的に路線を延ばした。国鉄民営化を経て、県や周辺自治体が出資する第三セクターの秋田内陸縦貫鉄道が引き継ぎ、平成元年4月に全線開業。来年は30年目の節目に当たる。