【高論卓説】台湾企業に日本の半導体が敗れたワケ 「下請け」嫌い見失った分業化の流れ (1/3ページ)


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 ■「下請け」嫌い見失った分業化の流れ

 台湾には世界的に無名でも世界規模の巨大企業がいくつもある。それらは主に「下請け」によって大きく成長したものだ。

 11月末、1人の経営者の引退表明が世界を揺るがした。半導体受託製造(ファウンドリー)の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の創業者、張忠謀(モリス・チャン)氏が、来年6月に後進へ道を譲ると発表したからだ。

 TSMCは、台湾の「ブランドなき大企業」の象徴的存在である。日本では、台湾の経営者といえばシャープを買収した鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)氏の知名度が圧倒的に勝る。鴻海もブランド名のない世界企業だが、台湾では毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい郭氏より、堅実経営に徹してTSMCを育て上げた張氏の方が広く尊敬を集めている。

 TSMCの売り上げは日本円で3兆円を上回る。株式時価総額は今年21兆円となり、ライバルの米インテルを上回った。2018年には、回路線幅が7ナノ(ナノは10億分の1)メートルのシステムLSI(大規模集積回路)の量産を開始し、22年には3ナノの工場を完成させる道筋をつけての完全引退となる。

 引退会見で張氏は「もしもTSMCがなければスマートフォンもこんなに早く現れなかった。われわれは世界数十億人のライフスタイルを変えた」と胸を張った。

なぜ日本が勝てなかったのか、日本人としては考えざるを得ない