国際協力機構(JICA)が、バングラデシュでICT(情報通信技術)人材の育成に乗り出したことが12日、分かった。政府開発援助(ODA)の技術支援の一環で、首都ダッカに「ICTアカデミー」を先月開設、今後3年間で300人の技術者を育成する。ICTを生かした現地での雇用拡大を支援すると同時に、就職紹介で人材不足に悩む日本企業への技術者供給も視野に入れる。
ICTアカデミーの研修期間は3カ月で、開設時にダッカ大などの学生や卒業生の技術者20人が入校した。
アカデミーの運営には日本の自治体や企業も協力。IT産業による地方創生を目指す宮崎市は、宮崎大から日本語教師を派遣。バングラデシュに拠点を持つソフトウエア開発会社のBJIT(東京都港区)は運営や研修を担い、日本のIT技術の国家試験に沿った知識や技術を指導する。
日本の官民が協力する背景には深刻な技術者不足がある。人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながるIoT(モノのインターネット)の普及が進む中、企業は外国人技術者の採用にも動くが、インドや欧米の技術者は獲得競争が激しい。
あまり知られてはいないがバングラデシュは優秀なICT技術者が多く、米航空宇宙局(NASA)をはじめ米グーグル、韓国サムスン電子などが積極的に採用しており、今後は争奪戦が激化する見通し。JICAはアカデミーの運営を通じバングラデシュの産業育成を後押しして関係強化を図り、日本企業が採用しやすい環境も整備する。
受け入れについては、既にアカデミーに協力する宮崎市は外国人技術者への家賃補助や採用企業への補助金など環境を整備している。JICAは今後、宮崎市をはじめとする地方の企業に仲介する予定だ。