九州人が「うまかっちゃん」を偏愛する理由 「味」変わらないのになぜ人気? (2/4ページ)

 だが、九州地区では様相が異なる。ハウス食品「うまかっちゃん」が袋めん市場ではシェア25%で首位をキープし続けているのだ。ハウス食品はカレールウに強みをもつが、即席めんのメーカーとしては上位ではない。筆者は以前から「九州では、うまかっちゃんが強い」という話は耳にしていたが、仕事で大分県から愛知県に転勤した40代の男性(福岡県出身)の次の言葉を聞いて、一段と興味を持った。

 「愛知では、あまり『うまかっちゃん』が売っていないので、定期的に福岡の実家から送ってもらっています」

 ここまで九州人を魅了する「うまかっちゃん」は、ご当地ラーメンのはしりであり、発売時は九州限定だったという。その歴史や文化を、ハウス食品に聞いた。

 発売以来「味」は変えていない

 「九州は、もともと“とんこつ味の文化”です。最近の博多とんこつラーメンは濃厚さを売り物にした商品もありますが、うまかっちゃんは、そうした濃厚さはない。実は1979年の発売時から、味はまったく変えていません。当社商品の中でも珍しい例です」

 ハウス食品の長江隆司氏(事業戦略本部・食品事業二部ビジネスユニットマネージャー)はこう説明する。消費者からも「昔ながらの味がいい」と言われるという。

 「味の特徴は、スープが主張しすぎず、何にでも合わせやすいことです。定番のねぎ、紅しょうが、ごまや、さまざまな具材を入れても楽しめます。九州出身の方からは『必ず家にある』『土曜のお昼はこれだった』という、うれしい声もいただきます」(同)

 現在は定番商品のほか、さまざまな派生商品も展開する。たとえば、「うまかっちゃん〈熊本 火の国流とんこつ 香ばしにんにく風味〉」、「うまかっちゃん〈博多 からし高菜風味〉」「うまかっちゃん〈久留米風とんこつ〉」、「うまかっちゃん〈黒豚とんこつ 鹿児島焦がしねぎ風味〉」といった地域色豊かな商品もある。かつては「うまかっちゃん 宮崎名物鶏の炭火焼風味のとんこつしょうゆ味」も出していた(現在は販売終了)。

当初は「こらウマカ」も構想