平成7年1月17日の阪神大震災で港湾機能が甚大な被害を受け、コンテナ取扱個数が低迷していた神戸港(神戸市)で、29年のコンテナ取り扱いが震災前年の292万個を上回り過去最高になる見通しであることが3日、分かった。船会社への補助金制度の充実などで、地方港からの貨物集荷が進んだことが要因。かつて世界2位を誇った神戸港が震災から23年を経て復活、さらなる飛躍を目指して実証実験も始めた。
神戸港の29年上期(1~6月)のコンテナ取り扱いは145万個で、震災前年の137万個を初めて上回り、上期では過去最高になった。地方港と神戸港を結ぶ内貿コンテナ貨物が前年比7・4%増となり、コンテナ取扱個数を底上げした。下期の7~10月は95万個を上積みし、10月末時点で240万個。28年の11、12月は約50万個だったが、29年は前年を上回るペースで推移していることから、震災前年の292万個をわずかに上回る見込みだ。
神戸港の取扱個数は昭和51、52両年に世界2位、過去最高となった平成6年は6位だった。このときは海外港同士を結ぶハブ(拠点)港としての存在感があったが、震災で岸壁が沈下、コンテナを扱うクレーンも倒壊するなどし、港湾機能がまひした。
7年の取扱個数は半減して世界24位まで後退し、横浜港などに抜かれて国内1位の座からも転落した。港湾機能を復旧させるだけで2年を要し、海外貨物は中国や韓国などに流出、復旧後も海外貨物は戻らなかった。