【木下隆之のクルマ三昧】クルマの死角はゼロになる? デジタルミラー時代の先陣切るレクサス (2/4ページ)

 国連の自動車基準調和世界フォーラムでは、CMS(カメラモニタリングシステム)の是非が議論されている。その流れを受け、昨年3月に国土交通省が「バックミラー等に代わるCMSの基準」を整備した。すわ、ミラーレスの時代到来か。僕らは色めきだった。

 だが、実際に市販車に投入された例はまだない。ただ、その兆候は形になりつつある。昨年末にデビューした新型レクサスLS500には、サイドミラーレスではないものの、車内のバックミラーがCMSに置き換えられていたのだ。ミラーレス時代の最初の一歩として話題になっているのである。

新型のレクサス「LS500」をドライブする木下氏

新型のレクサス「LS500」をドライブする木下氏

 「デジタルインナーミラー」と呼ばれるそれは、一般的なバックミラーの位置にある。だがそれは鏡ではなくモニターである。パッと見ただけでは、CMSとは気づかないだろう。

 最大のメリットは、後方視界が広いことだろう。ミラーは文字通り鏡の反射であるからゆえに、後席やそこに座る乗員、あるいはリアガラスの枠などの隙間から後方確認する必要があるのに対してデジタルミラーは、リアバンバー付近の映像をそのまま写しているために視界を遮らないのである。

LS500の「デジタルインナーミラー」

LS500の「デジタルインナーミラー」

レース界では数年前から使用