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上方落語から。
今宮の戎さんに「金銀をください」とお願いすると、「手のひらを出せ」と言われる。両手を差し出して開いてみたら、小判が一枚ずつ乗っている。ありがたい、と思ったが、「ひょっとして戎小判やないやろか」と疑った。
戎小判とは吉兆の笹につけられた紙の小判である。
疑ったとたん、バチが当たってその小判が額にピシャリとひっついてしまう。取ろうとしても、痛くてどうにもならない。困っていると、見ていたやつが「片一方なら取ったる」
「片一方でもかまわん。どないしたら取れる」
「鼻の頭に桂馬を打て」
大阪人は神様まで笑いのネタにする。「夫婦善哉」などで知られる作家の織田作之助は1947年1月10日に、新聞小説を執筆のため滞在中の東京で亡くなった。臨終の間際に「十日戎の日に死ねるとは運がいい」ともらしたという。客死を知った大阪のファンも「オダサクは最後まで大阪に義理立てして十日戎に逝きよった」。
今年も「えべっさん」にお願いしたいことは多い。戌年で、相場の格言では「戌は笑う」である。昨年来、株価は上昇が続いており、不安要因は見られない。ならば「笑う」の格言通りになりそうだが、年をまたいでいくつも課題を持ち越している。とくに朝鮮半島情勢は、いつ火がついてもおかしくない。北朝鮮は核とミサイルの開発を断念する気配はないし、トランプ米大統領も強硬な姿勢を崩さない。有事となれば、日本にも相当な影響がある。