
居酒屋「会津」店主の御厨浩一郎さんからマナーを聞く外国人客=2017年12月、東京・渋谷【拡大】
訪日外国人の消費が爆買いなどの「モノ」から、体験を重視する「コト」に移行、手頃な値段で日本料理とお酒を楽しめる居酒屋に足を運ぶ外国人が増えている。
そうした中、会員制交流サイト(SNS)やブログなどの口コミで、チェーン店など大型店舗では味わえない「気を使いながら他人とお酒を酌み交わす」日本文化にふれあえる飲み屋街に注目。その一つが個性豊かな居酒屋が軒を連ねるのんべい横丁で「ブログで調べて訪れる外国人が6年ぐらい前から増えてきた」と御厨さんは話す。
一方で、「お通しの意味が分からない」といった文化の違いから外国人との間でトラブルが発生することもあり、入店を拒否する居酒屋も出てきた。そこでテンナインはマナー集の製作を企画、複数の飲み屋街に声をかけ、昨秋にのんべい横丁内の約30店舗に1200枚を置いた。
マナー集の配布効果もあって「日本のスタイルに合わせる外国人は、常連客に受け入れられている」(御厨さん)ほど、横丁に外国人がなじんできた。松本氏は「東京だけでなく全国の観光地の役に立ちたい」と意気込む。英語版だけでなく中国語版や、外国人が日本語を覚えて観光するためのフレーズ集の作成も検討中という。(松岡健夫)
■「渋谷のんべい横丁」の主なマナー
▽日本でのカジュアルな飲み会でのマナー
・1杯目はビールが基本
・乾杯の音頭
・相手のグラスにお酒を注ぐ
▽他人と会話を楽しむ
▽お通し・席料はカットできない
▽何も飲まずに長時間店内に居座らない
▽お店の人やお客さん同士の「いっぱいどうぞ」は通な飲み方