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これは一見便利な機能のようにも見える。が、ハワイの広告だけなら笑って済ませるが、例えば、ユーザーが朝鮮国営通信を何回か閲覧すると、北朝鮮に都合の良い情報ばかりが自動配信されて片方のニュースが遮断。バランスを著しく阻害することになる。もちろん反北朝鮮系のニュースばかり読んでいても同じことは起きる。
今のところフィルターバブルから逃れる賢明な方法はない。最良の策はネットから自分を隔離することだが、ネットは今や電気、ガス、水道と同様に生活必需品であり、もはや私たちはネット抜きで生活することはほとんど不可能だ。では、ソーシャルメディアを使わないようにする? それは無理だ。
特に筆者は毎日ソーシャルメディアから多くの情報を入手し学んでいる。ソーシャルメディアはテレビ、新聞、雑誌と同様に、いやそれ以上に大切なメディアになりつつある。したがって、私たちに今できることはフィルターバブルの存在と「知的孤立に陥る可能性」があることを知った上でネットにアクセスすることだろう。
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【プロフィル】平松庚三
ひらまつ・こうぞう 実業家。アメリカン大学卒。ソニーを経て、アメリカン・エキスプレス副社長、AOLジャパン社長、弥生社長、ライブドア社長などを歴任。2008年から小僧com社長(現職)。他にも各種企業の社外取締役など。72歳。北海道出身。