ルールは「守るもの」ではなく「つくるもの」 ヤクルト、ダイキンが欧州で成功した理由 (4/5ページ)

 日本の対EUロビイストの草分けであり、経済産業省通商政策局に「ルール形成戦略室」を創設した藤井敏彦氏によれば、欧米人は未来を見据え、今はできないことでも「そのうちできるようになるから」とルール化してしまうそうです。日本人は真面目ですから、今できることしか言いません。その結果、欧米のほうが、より進んだルールができやすいそうです。こうしたカルチャーの違いを理解したうえで、欧米と対等に議論していくことが、ルールメイキングの場では求められます。

 ▼モノづくりからワクづくりへ

 モノづくり:技術

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 コトづくり:経験価値

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 ワクづくり:ルールメイキング

 なぜヤクルト、ダイキン工業は欧州で成功したのか

 ルールメイキング戦略に成功した日本企業が、空調機器メーカーのダイキン工業です。中国市場で同社製のインバーターエアコンの売り上げが伸びていますが、その理由は、ダイキンが中国政府に対して、インバーターの経済性や環境性能のよさをロビイングしたためです。その結果、中国政府がインバーターエアコンを推奨したことが、売り上げ拡大へとつながりました。

 また、前述の藤井氏から聞いた話ですが、欧州でヤクルトが結構売れているそうです。ヤクルトは乳酸菌飲料ですが、欧州にはもともとその市場がなく、認知もされていませんでした。もし、そのまま市場に参入しても、清涼飲料水のカテゴリーに入れられ、コカ・コーラなどの大手と競合し、埋没してしまったことでしょう。そこで同社は、研究機関と協力して乳酸菌飲料が健康にいいことを証明します。そして、乳酸菌飲料の学会を立ち上げ、政府への認知を広めることによって、乳酸菌飲料の市場を形成したそうです。新たなカテゴリーを自らつくることによって、欧州にそれまでなかった乳酸菌飲料というイノベーションを起こすことに成功したケースと言えます。

失敗例は米でのトヨタ