【遊技産業の視点 Weekly View】


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 □ぱちんこジャーナリスト、LOGOSインテリジェンスパートナー・POKKA吉田

 ■「大断層」がいくつも発生する経過措置

 先月、ここで私は「ぱちんこ業界は装置産業だ」ということを書いた。遊技機の能力がぱちんこ業界の力関係を大きく左右しており、その変化も大きい。よって、改正規則施行となった今、変化が到来するというように。

 その変化だが、改正規則の内容を知らない人にとっては「この2月で全国のぱちんこ屋が大幅に設置機種など刷新される」と誤解しているかもしれない。そこでこれについて触れる。

 改正規則には経過措置が設けられている。これは従前規則下で許可認容されている検定や認定を受けた型式・遊技機の設置を、従前規則下の有効期間内まで合法とする規定だ。このため「いきなり全とっかえ」みたいな状況にはならない。この経過措置は型式によって異なるが最大で3年間だ。では3年間でゆるやかに改正規則機市場に変化していくのか、といえば、これまた違うからヤヤコシイ。3年間を鳥瞰(ちょうかん)すればそのとおりであるが、現場感はむしろ真逆だ。わかりやすく言えば「しばらく設置されている機種が、ある日突然地域から一気に消えていく」ということを機種ごとに繰り返す3年間となる、ということである。

 経過措置は検定が基準になっている。認定は検定最終日を基準に受けるものだ。そして検定は都道府県ごとに日付が前後する。つまり、一つの商圏内では「経過措置終了はすべての店で同じ日」ということになるわけである。

 従前規則機を長く設置しているということは、それはすなわち主力機である。主力機ということはすなわち多くの店が経過措置ギリギリまで設置する。それがある日を境に店からすべて消える。これが主力機ごとに繰り返され、最終的に3年間で改正規則機にすべて移行する、というのが今回の規則改正だ。射幸性の抑制、つまりギャンブル性の抑制が軸となった規則に改正され3年間で完全に入れ替わる。しかし市場の変化はゆるやかなものではなく、このような日付的に大きな断層がいくつも発生する変化なのである。

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【プロフィル】POKKA吉田

 ぽっか・よしだ 本名・岡崎徹。1971年生まれ。神戸大学経済学部中退。著書に『パチンコが本当になくなる日』(扶桑社新書)など。2016年2月から本名の岡崎徹としてぱちんこ業界紙「シークエンス」発行人編集長。