パリ日本文化会館・日本友の会新会長に早川トヨタ副会長

早川茂・トヨタ自動車副会長
早川茂・トヨタ自動車副会長【拡大】

  • パリにある日本文化の発信拠点「パリ日本文化会館」((C)パリ日本文化会館)
  • 2017年1月に開催された味の素のイノベーションセミナー。多くのフランス人が訪れた((C)パリ日本文化会館)

 世界の文化首都・パリから日本文化を発信する「パリ日本文化会館」の活動を財政面から支える民間組織「パリ日本文化会館・日本友の会」会長に早川茂・トヨタ自動車副会長が就任する。5月29日開催の定時会員総会で選任される予定だ。会長は1998年7月の発足以来、福原義春・資生堂名誉会長が務めており初の交代となる。20年の節目を迎え、次世代への入れ替え時期と判断した。早川氏は「会員企業にとって会館への協賛価値をもっと可視化・向上させなければいけない」と意気込みを見せる。

 パリ・エッフェル塔近くのセーヌ川の河畔に位置する総ガラス張りの建物が会館だ。97年5月の開館以来、展示や公演、シンポジウムなどを通じて日本の伝統、芸術、最新情報などの日本文化を発信するとともに、交流の場を提供してきた。2015年からは会員を中心に企業文化や最新の技術・知見を発表するイノベーションセミナーを開催。年間入場者数は約8万5000人(16年度)、累計では150万人を超える。

 「特製だしの試飲や製品紹介を含めた総合イベントとして難易度は高かったが、参加者から高い評価をもらい大きな手応えを感じた」

 味の素が17年1月に実施したセミナー「味の素 『Dashi』という観点からみる日本料理」の担当者はこう語った。

 だしの観点から日仏料理の比較や、だしを科学的に研究した成果を製品に活用した事例などを紹介。フランス人参加者から「だしの特徴と日本料理における重要性がよく分かった」「日本の味について端的かつ明快に説明してくれた」といった声が寄せられ、日本料理への理解に加え、ビジネス展開の活気づけにつながったようだ。

 友の会は76の国内企業などによる会員組織で、年間4000万円超を会館活動資金として拠出。日仏文化交流を通じた国際貢献に財政面から貢献してきたことが評価され、17年度外務大臣表彰を受けた。

 一方で、こうした活動に対する情報発信不足は否めず、「資金の出し手であるステークホルダー(利害関係者)への説明責任の観点から通用しない」(早川氏)。それだけに自社をアピールできるセミナーの開催は重要で、17年までにトヨタや東レ、資生堂、大日本印刷などが活用し、ビジネスに生かしている。

 友の会の斉藤幸博事務局長は「会館の活動と企業の事業メリットが目に見える形でつながっているという視点が大切」と指摘。会館自体が協賛価値の創造を意識して活動するとともに、価値情報の発信が必要と説く。

 18年は日仏友好160周年にあたり、7月から翌年2月までパリを中心に日本文化・芸術の祭典「ジャポニズム2018」が開催される。その中心的役割を担うのが会館で、協賛価値の向上につながる絶好の機会が訪れる。節目の年に会長に就く早川氏は「会館支援の輪を広げる取り組みに力を注ぎたい」と熱意を示す。

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【プロフィル】早川茂

 はやかわ・しげる 東京大経済学部卒。1977年トヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)入社。2007年常務役員、12年専務役員、15年取締役、17年4月取締役副会長。同5月経団連副会長。64歳。神奈川県出身。