FCV普及、目標達成困難に 水素社会実現へ官民戦略の見直し不可避 (1/2ページ)

 燃料電池車(FCV)を2020年までに約4万台まで普及させるとする政府の目標が事実上達成不可能となったことが分かった。水素ステーションなどインフラ整備が進まず販売が伸び悩んでいるため。電気自動車(EV)が世界的に次世代環境車の「主役」の地位を固める中、官民によるFCV開発は戦略の見直しを迫られる可能性もある。

 FCVは走行中に温室効果ガスを排出しないのが強み。政府は16年に公表した「水素社会」実現に向けた工程表で、20年までに約4万台の目標を明記。その後もこれを維持してきた。

 しかし17年末時点の実績は2322台。手掛けるのはトヨタ自動車とホンダだけで、トヨタが9割超を占め、ホンダは187台にとどまる。

 トヨタは17~19年、年1000台程度の国内販売を計画。その後年1万数千台に拡大するとしているが、17年の実績は766台。ホンダは計画を公表していないものの、2社合計でも20年で4万台は大幅未達の公算が大きい。

 水素ステーションの建設費は1施設当たり4億~5億円。普及が進まない現状ではコスト回収が難しく数が増えていない。1台700万円を超える価格の高さも課題。これまで200万円程度あった購入補助金が廃止され、逆風となるのは避けられそうにない。

経済産業省は目標維持の考え