【高論卓説】仮想通貨の今後 環境整備、投機色払拭…課題は山積 (1/2ページ)

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 インターネット上で取引される仮想通貨は、昨年6月にこのコラムで、資金決済法などのいわゆるフィンテック(ITと金融を融合した新しいサービス)関連法の整備も追い風になって今後時間はかかるが普及が進むだろうと書いた。

 代表格のビットコインは、昨年6月末には28万円前後だったが、12月中旬には200万円を超え、その後の盗難事件などの影響で2月上旬には70万円を割り込んだものの、その後やや値を戻している。EC(電子商取引)サイトや家電量販店などで決済に利用できる場面も増えてきている。しかし、今日までを振り返ると、仮想通貨の普及に疑問符を付けるのが通説になったと思われる。

 その根拠としては、まず、経済学的に、仮想通貨は、通貨として求められる機能を備えるのが難しいという理由がある。一般に、通貨は、「価値の尺度(物の評価手段)」「価値の保存」「交換の手段」という3つの機能を持つものであるとされている。しかし、現状の仮想通貨はその値動き(ボラティリティー)が大きすぎるため、価値の尺度として用いるのは難しい。

 同様に200万円だったものが2カ月足らずで70万円になるような大きなボラティリティーは、価値の保存を保証するものとはいい難い。交換(決済)手段としては、技術的には優れた面を持つものの、やはりボラティリティーの問題によって、少額でない取引に使うには安定性がない。

 このように、現在の仮想通貨は、通貨に求められる機能を果たせないため、通貨として使われることは難しいと考えられるようになったのである。

課税関係の課題も