金融

銀行の収益モデルを真っ向から否定 セブンの40倍も儲かるコンビニATMの「謎」 (1/6ページ)

 コンビニATMの代表格「セブン銀行」。単位床面積あたりの利益を比較すると、セブン銀行の利益はセブン-イレブンの40倍に達する。なぜセブン銀行は圧倒的な超高収益を実現できたのか。東京理科大学大学院の宮永博史教授が解説する--。

 常識外のビジネスモデルを実現したセブン銀行

 今やコンビニエンスストアにATMがあるのは当たり前の景色となっている。この「どこにでもあるATM」に、意外と知られていない巧みなビジネスモデルが隠れている。代表格が「セブン銀行」だ。小売りの世界から金融の世界へ、規制の壁を乗り越え、常識外のビジネスモデルを構想し、実現してきたのがセブン銀行である。しかも、今でもそのビジネスモデルは進化を続けている。

 まず、セブン&アイ ホールディングス(以下、セブン&アイ)傘下にある各事業の業績をご覧いただこう。次の図表は、同社が発表した決算情報(2017年2月期)から、事業セグメントごとの営業利益と営業利益率の数字を抜き出したものだ。

 図表から、セブン-イレブン擁するコンビニエンスストア事業が圧倒的に大きな利益をあげていることがわかる。この数字からも、今やコンビニエンスストア事業がグループの稼ぎ頭であることは一目瞭然だ。

 一方、祖業であるイトーヨーカ堂を擁するスーパーストア事業はどうか。一定の利益は上げているものの、コンビニエンスストア事業と比べて1桁以上少ないことがわかる。

 しかも営業利益率の差を比べるとまさにその差は歴然だ。コンビニエンスストア事業では営業利益率が12.3%なのに対し、スーパーストア事業のそれはわずか1.1%に留まっている。まさにスーパーストア事業の苦境がみてとれる。さらに、百貨店事業(そごう・西武)に至っては利益の絶対額も利益率も極めて厳しい状況だ。

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