【生かせ!知財ビジネス】特許サーチャー 人材育成に注力


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 ■スマートワークス・酒井美里社長に聞く

 日本特許情報機構による2017年度特許情報普及活動功労者表彰で「特許庁長官賞(特許情報活用普及功労者)」をこのほど受賞したスマートワークス(長野県原村)の酒井美里社長。特許サーチャー(特許調査実務者)業務との出合い、活動、今後について聞いた。

 --本格的な特許調査業務との出合いは

 「セイコーエプソンの特許室に配属された当時は米国特許訴訟の嵐の中で、部屋の壁一面に関係文書の箱が山と積まれていた。特許調査がしっかりできていなかったのではという全社的反省から特許の調査解析部門として新会社が作られ、異動した。調査担当は研究部門出身の技術者3人、特許室から私。(検索に特化した)今でいう特許サーチャーのような人材はいなかったと思う」

 --どのような仕事をしていたのか

 「新製品を出す前の他社特許侵害の有無や、自社にとってまずい他社特許を無効化するための資料の調査などをしながら、腕を磨いた。特許室時代は大量の紙の資料が使われたが、子会社ではインハウス型特許検索システムが導入され、紙からパソコン画面で読む体制へ移行しつつあった。10年後に退社したが、当時調査担当は20人を超え、ほぼ全員の研修に携わった。この間、女性は私だけ、常に最年少だった」

 --退社後、住まいのある地元に新会社を設立した

 「山奥だが素晴らしい場所。首都圏に出るのは必要最小限にしている。(特許サーチャーとして)私の場合、特許情報の検索式を作るスピードが早く、品質が安定しているのが特徴で、いわば量産型。常勤の特許サーチャーは現在2人(4月に1人増)だが、年間150~200案件を受託する。顧客の9割は上場企業だ」

 --特許庁長官賞受賞後の感想と、これからについて

 「賞をいただいた直後、これからは次世代を育てる人を発掘するようなことをやりたいとすごく感じた。30歳くらいの人に目をつけ、特許検索技術だけでなく、例えば教え方や研修内容の作り方を伝えたい。企業在籍時代、自分に教える能力はないと思っていたが、上司に教え方を習ったら意外にすぐできた。いろいろな人がいろいろなノウハウを教えていくことは、この業界のためになる。(発掘された)人の可能性も開かれるだろう」(知財情報&戦略システム 中岡浩)

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【プロフィル】酒井美里

 さかい・みさと 奈良女子大理卒。1991年セイコーエプソン入社、特許室を経て、95年エプソンインテリジェンス出向。2005年スマートワークス設立。07年第1回特許検索競技大会優勝。49歳。岐阜県出身。