【株式ニューカマー】ブランドリユースで「消耗品」を「資産」に


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 □SOU・嵜本晋輔社長

 リユース事業を手掛けるSOU(ソウ)は、消費者から高級ブランド品や貴金属などを買い取り、業者向けにオークションで販売するビジネスモデルで、創業から6年で業界トップクラスに急成長を遂げた。3月22日には東証マザーズ市場へ新規上場を果たした。元Jリーガーから起業家へ転身した嵜本晋輔社長は「モノを消耗品から資産として捉えてリユースする新しい価値観を創造する」と意気込んでいる。

 ◆Jリーガーから転身

 --卸売りに特化している

 「ブランドリユース事業者は、多くが買い取った商品を消費者向けに販売している。業者向けより高い単価で売れるものの在庫になるリスクがある。しかし卸売りであれば商品の回転が速い。このため需要量が安定している卸売りに特化し、売上高の9割以上を占めている」

 --業績の推移は

 「店舗を積極的に展開したことから2012年度から16年度までの4期で売上高は3.5倍に伸びた。しかし経常利益に関しては出店コストのほか、成約率を高めるため買い取り価格を上げたことが響いて14年度から15年度まで減益となった。16年度には投資が一巡し、営業スタイルを変更したことによって増収増益を達成した。今期は売上高が前期比31.1%増の297億3200万円、経常利益が同50.1%増で17億1000万円を予想している」

 --サッカーでの経験は経営に生かされているか

 「サッカーはチームプレーが求められる。1人素晴らしい選手がいても、うまく機能しなければ試合に勝つことはできない。ガンバ大阪でプレーしたが、チームプレーが重要であることを学んだ。今では監督のような立場で、その仕事に対して最も力を発揮できる組織をつくるにはどうするのかという視点で陣営を組み立てている」

 ◆海外市場も開拓

 --海外でのビジネスは

 「昨年3月から香港で事業者向けオークションを始めた。国内で仕入れた良質なリユース品を輸出している。海外売上比率は早くも5%に達した。成長しているアジアを中心に、市場開拓に向けてリサーチをしているところだ。今は輸出しているが、ゆくゆくは当社が国内で行っている商品の現地調達、現地販売という地産地消のビジネスモデルも展開していきたい」

 --どのような成長イメージを描いているか

 「商品を買い取るための拠点を18年度までに百貨店や商業施設などへの積極展開で70店舗超に増やす。その後も出店を続けていくことで、買い取り拠点を拡充してコアビジネスを成長させる。また、これまでにリユースを利用したことのない潜在顧客も掘り起こす。このため当社独自に開発した資産管理アプリの機能をアップする。現在、主にブランド品の買い取り価格を提示しているが、今後は骨董(こっとう)・美術品や自動車、不動産などあらゆる資産価格を可視化させたい」

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【プロフィル】嵜本晋輔

 さきもと・しんすけ 2001年ガンバ大阪入団。04年MKSコーポレーション(現・ニュースタンダードグローバルオフィス)常務取締役。11年12月SOUを設立し、現職。35歳。大阪府出身。

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【会社概要】SOU

 ▽本社=東京都港区港南1-2-70 品川シーズンテラス28階

 ▽設立=2011年12月

 ▽資本金=2億5560万円

 ▽従業員=383人 (2017年8月末時点)

 ▽売上高=297億3200万円 (18年8月期予想)

 ▽事業内容=ブランド品、骨董・美術品などのリユース