スタイリストが買い物同伴 百貨店、販売員の知識活用

スタイリストが似合う色を診断する三越日本橋本店のサービス=3月、東京都中央区
スタイリストが似合う色を診断する三越日本橋本店のサービス=3月、東京都中央区【拡大】

 常駐のスタイリストが全身のコーディネートを考えて買い物に同伴するなど、百貨店が専門性を武器に提案力で勝負し始めた。低価格なファストファッションやネット通販の台頭で競争が激化する中、販売員の習熟した知識を活用する。

 東京都内の三越日本橋本店では、職業や暮らし方に合った装いやメーキャップを総合的に提案する社内資格がある6人のスタイリストが、似合う色や体形の悩みを基に洋服やスカーフ、靴など全身の組み合わせの相談に乗る。担当者は、人工知能(AI)が購買履歴などから好みにあった洋服を予測するネットのサービスとは異なり、「予想外に似合う服を見つけることができ、簡単に印象を変えられる」と説明する。

 事前予約したコーディネート希望者には「信頼感のある女性に見られたい」など30項目から理想の姿を選んでもらい、肌や目の色から似合う色を診断。「婚活で着たい」など着る場や生活様式も踏まえ、複数の売り場から選んで紹介する仕組みだ。化粧品のコンシェルジュとも連携する計画で「全館を使い倒してほしい」(担当者)と話す。

 そごう・西武では肌の分析や、化粧の方法を教える場を一部店舗に設けたことで化粧品の売り上げが伸びたという。そごう横浜店では専門のスタッフが髪質を診断し、シャンプーなどヘアケア用品も試せるようにした。広報担当者は「百貨店に立ち寄れば楽しい体験ができると伝えたい。商品の良さを実感できれば購買にもつながる」と期待した。