武田、数兆円の融資打診 欧州医薬シャイアー買収を準備

武田薬品工業の本社=大阪市中央区
武田薬品工業の本社=大阪市中央区【拡大】

 武田薬品工業が、アイルランドの医薬品大手シャイアーの買収を目指し、主要取引先の三井住友銀行など複数の大手銀行に計数兆円規模の融資を打診していることが12日分かった。実現すれば日本企業として過去最大の海外買収案件になる。

 買収は重点領域である消化器系疾患などの新薬の開発力を強化し、成長が見込める欧米市場でのシェア拡大が狙い。ただシャイアーの企業価値は5兆円規模に上り、武田の4兆円超を大きく上回る。

 シャイアーが上場する英国の規則により、武田は今月25日までに正式な提案を表明する必要があり、可能な限り財務内容が悪化しない形での買収方法を詰める。

 シャイアーは希少疾患の治療薬などに強みを持ち、日本でも事業展開している。武田のクリストフ・ウェバー社長は5日のアナリストとの会合で、一部の資産や事業ではなくシャイアー全体の買収を検討していると説明していた。資金調達に動きだしたことで、買収準備が本格化してきた。

 国内企業による海外買収案件は、これまではソフトバンクグループによる2016年の英半導体開発大手アーム・ホールディングスの買収が約3兆3000億円で最大だった。

 武田は17年に米製薬会社アリアド・ファーマシューティカルズを約6000億円で買収するなど、欧米の製薬会社を相次ぎ傘下に収めてきた。欧米のライバルを追い上げるためさらなるM&A(企業の合併・買収)を検討していた。