介護福祉の現場でコンプライアンス違反が多発している。厚生労働省の調査によると、2016年度に介護報酬の不正請求や法令違反で介護保険法に基づき指定取消などの処分を受けた施設や事業所は過去最多の244カ所にのぼった。指定取消の理由は、「不正請求」が最も多く、「書類提出命令に従わない、虚偽報告」、「介護保険法等の違反」が続く。
主な倒産事例では、3月28日に破産開始決定を受けた「あそかライフサービス」(東京、負債3億5800万円)は、有料老人ホーム、訪問介護、デイサービスを行っていたが、関連の社会福祉法人の公金横領が発覚し、同社も不正に関わっていたことで信用が低下した。最近は従業員の退職が相次ぎ、人手不足で事業運営が困難になった。
◆「働き方改革」の陰の部分も浮き彫りに
コンプライアンスの徹底が金融機関の融資条件や、企業間の取引条件にも重要な要素になっていながら、コンプライアンス違反企業は後を絶たず、2017年度は3年ぶりに前年度を上回った。
違反内容では、「粉飾」の前年度比2.5倍増が目を引くが、金融機関や取引先に正確な情報開示がこれまで以上に求められる時代では、「一時しのぎ」は隠し通せなくなっている。
さらに、政府が「働き方改革」を掲げる中で、給与未払いなどの「雇用」関連も9割増加した。業績不振の中小企業では、従業員給与の支払いが資金繰りを圧迫している陰の部分も浮き彫りにしている。
コンプライアンス違反倒産は増加している。これは、大手では「悪しき慣習」を乗り越える企業体力があるが、景気回復の波に乗れない中小企業の脆さを示す「鏡」でもある。
市場が拡大する老人福祉・介護事業でも、介護報酬の不正請求や法令違反で介護保険法に基づき指定取消などの処分を受けた施設や事業所が調査開始以来、最多を記録している。