あこ天然酵母、“本物”普及に邁進 発酵パンで小麦粉本来の風味 (1/2ページ)

天然酵母を使用したコッペパンが並ぶ「SUZUKIPAN」の店内=2日、東京都足立区
天然酵母を使用したコッペパンが並ぶ「SUZUKIPAN」の店内=2日、東京都足立区【拡大】

  • 「SUZUKIPAN」店内の黒板。天然酵母、長時間発酵、無添加で、安全・安心なことを説明している=2日、東京都足立区

 「みんなが食べているのは発泡パン。われわれが作るのは発酵パン」-。こう強調するのは、あこ天然酵母の近藤泰弘社長。「パンの主役である小麦粉本来の風味を味わってほしい」とあこ天然培養酵母を使用した「本物の発酵パン」の普及に邁進(まいしん)する。

 イースト菌(酵母)のガス発生を利用して小麦粉を膨張させ、卵や油脂類で味付けをして焼くのが発泡パン。最も大事な小麦粉の風味は多種類の添加物で埋没してしまい、小麦粉にこだわる意味がなくなる。

 それに対し発酵パンは、ガスを発生させる酵母と、アミノ酸などのうまみを生成する酵素(麹菌)の二人三脚(平行複発酵)で作られる。

 日本伝統の発酵食品であるみそやしょうゆと同じ作り方なので毎日食べても飽きない。原材料はコメと小麦だけで添加物は一切使用しない。

 中でも、同社が製造するあこ酵母は癖が少なく発酵香を抑えており、小麦粉本来のうまみと風味をまっすぐに引き出すという。「だからこそ本当にいい小麦粉を選ぶ必要がある」と強調する。

 近藤氏は、日本古来の醸造技術を駆使してパン用酵母「ホシノ天然酵母」を作り上げた星野昌氏の唯一の弟子として25年間寝食をともにして学んだ。その酵母を発展させたあこ酵母を製造するため、東京都多摩市に酵母工房を開設。10年に拡張のため現在地に移転した。

 あこ酵母を使ったコッペパンが人気となっているベーカリーがある。東武伊勢崎線西新井駅から徒歩7分の「SUZUKI PAN」(東京都足立区)で、代表の鈴木寛昭氏の名刺裏側には天然酵母のほか、「無添加」「長時間発酵」といった文字が印刷されていた。

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