【フロントランナー 地域金融】飛騨信用組合の電子地域通貨の取り組み(2)

大原誠理事長
大原誠理事長【拡大】

 ■フィンテック事業 電子決済に着目

 飛騨信用組合では営業エリア経営環境を冷静に俯瞰(ふかん)し、地域とともに将来を切り開くための施策を重ねている。「ひだしんさるぼぼ倶楽部」という、約400店舗の加盟店と3万人規模が参加する会員組織の組成はその一例だ。一定の取引がある組合員やその家族に会員になってもらい、「さるぼぼ倶楽部ファミリー店」に加盟した地域の商店や飲食店で、割引などの特典を提供する取り組みだ。

 同倶楽部組成の背景には、地域での買い物や食事を後押しすることによる経済活性化への期待があった。一方で、「時代が進むにつれ、より実効性の高い新たな施策が必要だという思いを強めていった」と、飛騨信用組合の大原誠理事長は語る。

 「そうした意識が高まったのは、フィンテック(金融とITの融合)の台頭が叫ばれ始めた頃。日本ではメガバンクがようやく同分野に着手しようという中、林謙三会長(現相談役)を中心に、経営陣が事業の永続性確保のためには、フィンテックが金融事業の大きなパートを占めるとの認識を新たにし、フィンテックを用いた事業の検討を始めることになった」(大原理事長)という。

 そもそも飛騨信用組合にはIT活用や最新のシステム投資などへの積極姿勢があった。2013年には、組合内部へのシステム導入などを包括的に担当するプロジェクトチーム「E-Pro」を発足。グループウエアや顧客情報管理系など、それまで各部署に存在していたシステム投資案件を取りまとめて導入を推進してきた。

 このE-Proでプロジェクトマネージャーを務めていた古里圭史理事も、フィンテックの動向に着目していた一人。林前会長からの指示を受け、E-Proと同じ人員体制でフィンテック事業へ取り組むことが決定。16年に「フィンテックプロジェクト・ワーキングチーム」が設立された。このチームを中心に検討を重ねたフィンテック事業案として最終的に残ったのが、参入ハードルが相対的に低いとされる電子決済だった。

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 (編集協力)近代セールス kindai-sales.co.jp