【フロントランナー 地域金融】飛騨信用組合の電子地域通貨の取り組み(4)


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 ■消費者も加盟者も簡単・割安に利用

 飛騨信用組合が提供する電子地域通貨「さるぼぼコイン」は無料の専用アプリをスマートフォンにダウンロードし、同組合の営業店窓口で現金を収めてコインをチャージ(1円=1コイン、最大10万円分まで)すると、コイン決済が可能になる。

 買い物や飲食での会計時にチャージ済みのアプリを起動。レジ脇などに設置された専用ボード上の二次元コードにスマホをかざすと、支払先が確定し、金額入力画面が表示される。金額を入力し、金額に間違いがないか店側と確認して支払い確定すると「あんとー!(飛騨地方の方言で「ありがとう」の意)」の決済音ともに、決済完了画面が表示される。スマホさえあれば誰でも簡便に扱える設計だ。

 加盟店側は店頭に設置する二次元コードが必要になるが、特別な端末などは不要で、費用もかからない。飛騨信用組合に発行してもらった自店の二次元コードさえあれば、店外でのイベント出店などの際にもコイン決済を利用できる。ただ店舗は、決済完了通知を電子メールの受信で管理するため、ネット環境と電子メールが受信できる端末は不可欠だ。

 コイン決済にかかる手数料はゼロで、現金化と加盟店間での送金にそれぞれ手数料が生じる仕組みだ。現金化は、加盟店専用の管理画面から申請。手数料1.5%(税別)または1.8%(税別)を引いた残額が、翌営業日には飛騨信用組合にある預金口座に入金される。

 加盟店間での送金が現金化より得なことも、さるぼぼコインの特徴だ。原材料の仕入れなどにかかる事業者同士の代金のやりとりを、コインで代替する狙いがあり、加盟店同士なら0.5%(税別)の手数料で24時間いつでも送金できる。

 会計の実務負担が格段に軽減できるのもコイン決済の大きなメリットだ。特に店主1人で営むケースなどは、現金授受の手間が省け、店舗オペレーションの円滑化に直結する。

 一方、消費者には、コインをチャージすると、自動的にチャージ額の1%がプレミアムポイント(コインと同価)として付与される。ポイントの特典は、観光客にとってはコイン利用の直接的なきっかけになる見込み。

 観光客、特に訪日外国人からは「クレジットカードを使える店舗が少ない」との声があったというが、プレミアムポイントやスマホで支払えるシンプルさもあり、さるぼぼコインは観光客の決済で一定のニーズを満たすと期待される。飛騨信用組合の大原誠理事長は「外国人観光客向けにはアプリの多言語対応、さらにクレジットカードからのチャージといった対応も検討している」と話す。

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 (編集協力)近代セールス kindai-sales.co.jp