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違っていた「目のつけ所」 なぜ日本企業がアマゾンに“してやられた”のか (1/7ページ)

 米アマゾンが驚異的な成長をつづけている。なぜアマゾンは強いのか。日本で最初にアマゾンと対峙したセブン&アイHLDGSの鈴木康弘元CIOは、「アマゾンの収益モデルは日本の小売業とはまったく発想が異なる。日本の小売業は『客単価×客数』という尺度を使うが、アマゾンは『ライフタイムバリュー』を重視する」という。「ライフタイムバリュー」とは、どういう意味なのか。

 ※本稿は、鈴木康弘『アマゾンエフェクト!』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

 会社の利益を未来への投資に回すアマゾン

 「地球上で最もお客様を大切にする企業」

 それが、アマゾンの経営理念です。この理念は、業績の数字そのものに端的にあらわれています。

 アマゾンの売上高は右肩上がりでのび、2016年の年間売上高は1360億ドル(約15兆円)に達します。

 ところが、営業利益は約42億ドルで利益率は3%にすぎません。

 2017年第3四半期(7~9月)の売上高は過去最高を記録しましたが、営業利益率はわずか0.8%でした。売上高が急速に拡大を始めた2000年代半ば以降の最終損益の推移を見ると、一貫して収支トントンが続いています。

 アマゾンは、稼いだ利益の大部分をネット通販の値下げ、新規事業や物流網構築など長期的な投資につぎ込むからです。

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