武田、世界的大手に対抗も…シャイアー買収に市場冷ややか、株主反発懸念 (2/2ページ)

武田薬品工業の本社=大阪市中央区
武田薬品工業の本社=大阪市中央区【拡大】

 しかも国内では、高齢化の進展で医療費が増加。政府は対策として薬価引き下げや後発薬の普及を進め、製薬大手の収益環境は厳しさを増している。シャイアーは米国の売り上げが6割超を占め、最大市場である同国への進出を加速したい武田にとって理想的な相手といえた。

 もっとも、今回の買収に対する市場の見方は厳しい。買収が実現すれば、1兆1000億円を超える武田の有利子負債は数倍に膨らむ見込み。クリストフ・ウェバー社長は「財務の健全性と格付けを維持したい」と強調するが、米系格付け会社のムーディーズ・ジャパンは「債務比率の上昇で複数段階下がる可能性がある」と格下げを示唆する。

 また、既存の株主からは株の価値が低下する「希薄化」への反発も予想される。買収に伴い武田は企業価値とほぼ同規模分の新株を発行して支払うため、既存株の価値は半減する懸念がある。買収手続きは英国の裁判所が認可し、シャイアーの株主総会で75%の賛成を得る必要があり、武田も臨時株主総会で新株発行について承認を求めなければならない。両社の株主の同意を取り付けられるのか、先行きはなお予断を許さない。(井田通人)

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