造船・重機大手5社、最終損益で明暗 30年3月期


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 造船・重機大手5社の平成30年3月期連結決算が9日、出そろった。最終損益はIHIと川崎重工業、住友重機械工業の3社が増益となる一方、三菱重工業が減益、三井E&Sホールディングス(旧三井造船)が25年3月期以来5年ぶりの赤字となり、明暗が分かれた。売上高は三井E&Sを除く4社で増収だった。

 IHIが9日発表した30年3月期連結決算は、売上高が前期比7・0%増の1兆5903億円、最終利益が58・0%増の82億円と増収増益だった。民間向けの航空エンジンが伸びた。

 川崎重工の最終利益は10・3%増の289億円。新幹線のぞみの台車に亀裂が見つかった問題で、台車枠の交換に必要な費用を計上したが、船舶分野の改善や精密機械の好調で補った。

 一方、三菱重工の最終利益は約2割減った。国産ジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の開発費用や交通システムの負担増が響いた。三井E&Sは、海外プラント建設の工期の長期化で損失が膨らみ、最終損益が101億円の赤字(前期は121億円の黒字)となった。

 31年3月期の業績見通しは軒並み改善する。今期から国際会計基準を適用した三菱重工は最終利益で800億円を見込む。火力発電事業などが改善する。川崎重工も中国市場で機械の需要が伸び62・5%増の470億円の最終利益を予想。IHIは液化天然ガス(LNG)関連設備の採算改善で最終利益が3・8倍の320億円に伸びる見通し。