
プレシャスパートナーズで初めて男性で育休を取得した善方隆寛課長(左)=東京都新宿区(同社提供)【拡大】
トップ自らが育児休暇を取得するケースも出てきた。フィンテックベンチャーのfreee(フリー、同品川区)の佐々木大輔社長は16年、第1子誕生を機に1週間の育休を取得した。フリーマーケットアプリのメルカリ(同港区)の小泉文明社長も昨秋の第2子誕生を機に2カ月間の育休を取った。
かつては「男は仕事、女は育児」が当たり前だったが、共働きの夫婦が当たり前となった現在、家事も育児も夫婦で分担するのが一般的だ。手が足りないときにはベビーシッターを頼む方法もあるが、経済的な負担がネックとなる。その結果、「第1子誕生時に妻が育児で大変だったので、第2子のときは私が育休」というケースも少なくない。
現場に権限委譲推進
トップ自ら育休を取ることで、働き方への意識改革を促す側面もある。freeeでは他の男性役員や従業員でも育休を取る人が相次いだ。メルカリでも管理職が育休を取得しても業務が回るように、「マネジャークラスが意思決定できるよう、現場への権限委譲を進めたこと」(広報)で、組織全体の活性化が図れたという。
厚生労働省によると、16年度の時点で男性の育休取得率は3.16%。前年度比0.51ポイント増で比較可能な1996年度の調査以降、過去最高となった。とはいえ女性の81.8%と比べると見劣りするのは否めない。男性にとって育休の取得は心理的なハードルも高く、プレシャスパートナーズの善方課長も「相談するのに2週間悩んだ」と打ち明ける。
だが社歴の浅いベンチャー企業だからこそ、トップの意識一つで育休が取りやすくなるのも事実。家族的な社風のベンチャー企業も多く、男性従業員の育休取得は確実に増えるとみられ、大手を含めた民間企業全体の先導事例となりそうだ。