ベンチャー成長に新たな資金調達手段 株式投資型クラウドファンディングが10億円突破 (2/3ページ)

エメラダ・エクイティを通じて資金調達した地ビール会社の紹介動画の画面
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 だが、株式投資型CFの解禁を受け、昨年4月に日本クラウドキャピタル(東京都品川区)が国内第1号案件を手掛けたのを皮切りに、DANベンチャーキャピタル(同千代田区)が同9月、エメラダ(同)が同11月に参入。銀行の手が及ばなかった成長の芽に資金が流れるパイプが育ちつつある。

 「FUNDINNO(ファンディーノ)」の名称でサービスを運営する日本クラウドキャピタルは1年余りで30社(32案件)を仲介、うち22社が資金調達を完了し4社が調達中。資金調達の総額は約9億7600万円に上る。

 DANキャピタルの「GoAngel(ゴーエンジェル)」は、5社(6案件)で9200万円を手掛けた。今年末までに累計20社以上、3億3000万円超の調達が目標。エメラダは、「エメラダ・エクイティ」を運営し、5社で総額1億8000万円を調達しており、今年末までに累計10億円への引き上げを目指す。

 創業期は米と大差

 「米シリコンバレーに対し、日本では創業期の資本金は平均300万円程度。スタート時に大きな差がついている」

 こう国内ベンチャーの厳しい資金調達環境を指摘していた日本クラウドキャピタルの大浦学最高執行責任者(COO)だが、今月12日に行われた日本初の無料配車・運行サービス会社「nommoc(ノモック)」の5000万円の資金調達は、募集開始から4分30秒で完了。株式投資型CFの認知の広がりには手応えを感じており、今年末までに累計で100社、40億円の調達を見込む。

 すし専門店の悟中の調達を仲介した、DANベンチャーキャピタルの出縄良人社長も「200万ある株式会社のうち、株式を発行して資本調達しているのは上場準備中の企業を含めて約1万社しかない」と、市場の伸びしろは大きいとみる。

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