【終活の経済学】お墓の引っ越し(4)本山納骨、魅力的な改葬先

浄土宗総本山・知恩院の納骨堂=京都市東山区
浄土宗総本山・知恩院の納骨堂=京都市東山区【拡大】

  • 西本願寺、大谷本廟の「明著堂」=京都市東山区
  • 東本願寺、大谷祖廟の「御廟」=京都市東山区

 ■信仰心あつい人の希望受け入れ

 仏教各宗派の本山寺院も、納骨を受け入れている。本山に預ける安心感もあり、魅力的な改葬先といえそうだ。しかし、本山納骨は本来、宗祖への信仰心があつい人の希望を受け入れるもの。その趣旨をよく理解した上で検討することが望ましい。

 ◆宗派を問わず

 古刹(こさつ)・名刹(めいさつ)が多数集まる京都。各宗派の本山でも納骨を受け入れる寺院は少なくない。本山納骨はもともと、行き倒れとなった旅人や、さまざまな事情でお墓に入れない人に対する寺院の救済活動として始まったとされ、このため宗派や檀信徒であることを問わない寺院も多く、費用も安く設定されている。ただ、合祀(ごうし)されるため、納めた骨を取り戻すことはできないことに注意が必要だ。

 伝教大師最澄が平安初期に開いた天台宗総本山・延暦寺(大津市)。宗派を問わず納骨できる。原則として分骨で、費用は10万円。

 浄土宗総本山・知恩院(京都市東山区)も宗派を問わず、さらに俗名でも納骨できる。合祀の「納骨堂」は予約不要で、費用は分骨で5万円以上、全骨は8万円以上。1カ月ほど本堂に安置された後、納骨堂に納められる。「近頃は墓じまいや、仏壇をしまわれる方からの相談も多くなっている」という。

 臨済宗大本山妙心寺(同右京区)も宗派を問わない。分骨は7万円、全骨は30万円だ。

 浄土真宗本願寺派本山・西本願寺は、門徒に限って、大谷本廟(同東山区)に納骨できる。「改葬でお骨を持ってこられる方もいるが、本来は親鸞聖人のおそばにいたいと願う人の遺骨を納めるところ」という。合祀の「祖壇納骨」の場合、分骨用の小さい骨壺は3万円以上、大きい骨壺は5万円以上。年間約1万3000件の納骨が行われているという。

 ◆門徒が前提

 浄土真宗大谷派総本山・東本願寺は大谷祖廟(同)に納骨できるが、こちらも門徒であることが前提。分骨、全骨ともに可能で2万円から。

 山梨県身延町の日蓮宗総本山・久遠寺は、分骨が基本で普通納骨は5万円。菩提(ぼだい)寺がない場合に限り、全骨も200万円(50年納骨扱い)で受け入れている。

 聖徳太子が建立したことで知られる大阪市天王寺区の和宗総本山・四天王寺は1万円以上で分骨、全骨問わず納骨できる。年3回の納骨総祭法要まで納骨堂に安置し、総祭法要の際に供養塔へ合祀する。「四天王寺が好きだったという故人の納骨が一番多いが、このところ墓じまいで持ってこられる方もかなり多い。法要に参加される方が年々増加していることからもうかがえる」という。(『終活読本ソナエ』2018年新春号から)