ANAホールディングス(HD)は、24時間離着陸できる北九州空港(北九州市)を使った貨物定期路線を6月5日に就航させる。北九州を未明に出発して那覇空港(那覇市)を経由し、午前中にアジア主要都市に届ける新たな国際物流態勢ができる。九州などで生産された自動車部品や半導体のほか、採れたての農水産物を速く輸送する選択肢が増え、輸出増につながると期待が集まっている。
運航を担うANAカーゴによると、定期便は火曜-土曜日の午前0時40分に北九州を出発。国際物流の中継拠点と位置付ける那覇で積み替え、その日の午前4時半すぎ~午前9時半に台北、香港、上海、ソウル、バンコク、シンガポールの6都市へ到着する。
輸送に使う専用機はボーイング767で積載能力は約50トン。10トン超の大型の貨物や、長さ最大7メートルの特殊貨物を運べ、冷凍冷蔵の設備もある。広島、山口両県からの利用も想定している。
九州には自動車の生産拠点があるほか、半導体関連の部品などの製造業が集積。旅客機に積めない大型貨物は関西空港や成田空港に陸送した上で輸出しているが、新路線就航で「アジアの取引先にほぼ1日早く輸送できるようになる」(ANAカーゴ広報)という。
農産物では、福岡県産のイチゴ「あまおう」といった果物のほか、宮崎、鹿児島などで生産されている牛肉や地鶏の人気が高い。福岡県苅田町の遠田孝一町長は「野菜や果物のほか、ブランドカキなど水産品の出荷も可能になる」と期待する。
福岡県の小川洋知事も「部品を迅速かつ安定的に供給できることで製造業の振興や、農林水産物の輸出促進につながる」と歓迎している。