【コンセッション革命】(中)仙台空港、2年目で黒字化

仙台空港の展望デッキから撮影した滑走路、駐機中の航空機など
仙台空港の展望デッキから撮影した滑走路、駐機中の航空機など【拡大】

 ■民営化後、手荷物検査など「カイゼン」

 4月下旬、仙台空港(宮城県名取市)の国内線保安検査場で、ある「変化」が起こった。通常、乗客が手荷物を取り出して籠に入れてから搭乗券確認を行い、ほぼ同じタイミングでボディーチェックをする。だが、同空港では、搭乗券を先に確認してから、手荷物などの保安検査に進む“2段階方式”を導入したのだ。

 小さな工夫だが、効果は絶大だった。導入前の4月21日には15分以上の混雑時間の表示が計14分間あったが、同28日にはゼロに。動作を分離したことで乗客もスムーズに動けたのだ。同空港を運営する仙台国際空港の岩井卓也社長は「これが、まさに現場での『カイゼン』です」と胸を張る。

 仙台空港は2016年7月に、インフラ施設の運営権を民間事業者に売却するコンセッション方式で民営化された。その売却先が東急電鉄など東急グループ5社、前田建設工業、豊田通商の7社が設立した仙台国際空港だ。

 同社の18年3月期決算の最終損益は1億900万円と2年目で黒字を達成した。旅客数は民営化前の15年度が311万人で、17年度は343万人に増加した。

 民営化による変化は随所にみられる。役員室は廃止されて会議室に変わり、岩井氏は社員と同じ大部屋に移った。航空会社へのセールスを強化し、台湾への新規就航などを実現した。

 仙台空港民営化は、宮城県の村井嘉浩知事が推進した。村井氏はコンセッション方式に大きな意味を見いだしている。インフラ運営は「公共性を担保した上で民間に自由度を与え、民間のノウハウを最大限活用することが必要だ」との考えからだ。

 村井氏は現在、水道用水、工業用水、流域下水道を一体運営する新たな民営化案件にも取り組む。県では今後20年間で施設更新に1100億円かかると試算。経営基盤強化のため「上、工、下」の3水道事業の一体民営化を検討中だ。

 だが、ハードルは低くない。飲み水であるだけに、安全に対する県民の不安払拭が求められる。さらに、水道コンセッションに関し、自治体が最終責任を負えるようにする水道法改正案が成立しなければならないが、めどは立たない。村井氏はスキャンダル追及に明け暮れる国会について「嘆かわしい」と批判した。