【Sakeから観光立国】世界最大のワイン審査会で発信した「誇り」

IWCのSAKE部門審査会授賞式で、「トロフィー」を受賞した蔵元の関係者と山形県の吉村美栄子知事(後列左から4人目)=5月18日、山形市
IWCのSAKE部門審査会授賞式で、「トロフィー」を受賞した蔵元の関係者と山形県の吉村美栄子知事(後列左から4人目)=5月18日、山形市【拡大】

 □平出淑恵(酒サムライコーディネーター)

 1984年に、英国で設立された世界最大のワイン審査会、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)のSAKE審査会を山形県が誘致し、その授賞式が5月18日、JR山形駅に隣接するホテルメトロポリタン山形で開かれた。

 授賞式に出席したのは吉村美栄子山形県知事をはじめ県の関係者、大会スポンサー企業の代表者、15カ国の審査員59人、IWC関係者、全国から集まった60以上のメディアらだ。

 審査員は、審査前の歓迎会や審査後の県内エクスカージョン(体験型見学会)を通じて山形県の魅力に触れ、審査員として招聘(しょうへい)されたことに大きな誇りを感じたと口々に語っていた。

 まだまだ小さな海外の日本酒市場を支える彼らが日本酒振興に誇りを感じて活動することに、この山形での開催が大きく貢献したのは間違いない。

 SAKE部門で過去最大の出品となった1639銘柄(456社)から選ばれた、9つの部門最高賞「トロフィー」には、山形県から麓井酒造(酒田市)、東北銘醸(同)、加茂川酒造(白鷹町)の3社が受賞、県別で最高の成果を収めた。壇上の人となった蔵元もどれほど自社の酒造りを誇りに思っただろうか。

 山形県は、授賞式後の週末に山形、米沢、新庄、酒田、鶴岡の各市で「日本酒チャリティ試飲会」を開催、予定を上回る参加者でにぎわいをみせた。IWCの審査会に全国から出品されたえりすぐりの酒と、好成績を収めた県産酒を飲み比べられるまたとない機会となった。

 各会場を回り関係者に声を掛けていた平山雅之山形県商工労働部長は、「それぞれの会場では、地域の特色あるさかなとともにお酒を県内外のたくさんの方に楽しんでいただけたのではないか。また、多くの県民には、本県の日本酒を改めて誇りに思うきっかけにもなったと思う」と笑顔を見せた。

 SAKE部門全体の最高賞である「チャンピオン・サケ」は7月10日、ロンドンで開かれるIWC授賞式で、トロフィーの9銘柄から選ばれる。

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【プロフィル】平出淑恵

 ひらいで・としえ 1962年東京生まれ。83年、日本航空入社、国際線担当客室乗務員を経て、2011年、コーポ・サチを設立、社長に就任。世界最大規模のワイン審査会、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)のアンバサダー。日本ソムリエ協会理事、日本酒蔵ツーリズム推進協議会運営委員、昇龍道大使(中部9県のインバウンド大使)などを務める。