総務省、高効率な「5G基地局」研究へ NTT・名古屋大と共同、日本の技術普及を担う

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 総務省が新技術を用いた第5世代(5G)移動通信方式の基地局の研究に、NTT、名古屋大学と共同で乗り出すことが24日、分かった。青色発光ダイオード(LED)の素材として知られ、電力消費を抑えるなどの効果がある窒化ガリウムを使うことで、現在の10倍の距離まで電波を飛ばせる高効率な基地局の実用化が見込まれる。5Gには高効率な基地局が不可欠で、日本の技術が2019年以降に世界各国で導入が始まる5Gの普及に貢献する。

 今回の研究は、窒化ガリウムの放熱性や省電力性の高さに注目した。5Gの基地局は現在の技術では半径100メートル程度の範囲にしか電波を飛ばせないため、多数の小型基地局を配置する必要がある。しかし、基地局の電波を増幅する機器に窒化ガリウムを使うと、小型のままで半径1キロメートル程度まで飛ばせるようになるという。ただ、壊れやすい窒化ガリウムの活用には、加工などの点に課題がある。

 5Gは20年に国内で実用化の見込みのほか、全世界で導入が本格化する。新技術で5G向けに整備する基地局の数を抑えることができれば、投資負担の軽減によって「携帯電話料金の値下げにつながる可能性もある」(総務省)。一方、基地局などの無線インフラは中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)が世界シェア1位だが、中国政府への情報漏洩(ろうえい)の恐れがあることが米国で指摘されている。窒化ガリウムを使った電波の増幅技術の研究が進めば、信頼度の高い日本の基地局メーカーによる世界展開に道を開くことも期待される。