三井不動産、電気の可視化や自動検針 IoTでビル環境対策を強化

日本橋三井タワーに設置されたゲートウエー。スマートメーターで収集した検針データを受信する=東京都中央区
日本橋三井タワーに設置されたゲートウエー。スマートメーターで収集した検針データを受信する=東京都中央区【拡大】

 三井不動産は28日、IoT(モノのインターネット)を活用して環境対策を強化すると発表した。同社が管理する全国のビルで電気メーターの検針作業の自動化や遠隔管理を実施。テナント企業がエネルギー使用量を把握しやすくする。地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」で決められた温暖化ガスの削減目標を達成するには、オフィスビルや住宅から排出される二酸化炭素(CO2)をいかに抑制できるかが鍵を握る。デベロッパーや住宅メーカーによるIoTを活用した環境対策が活発化していくとみられる。

 電気通信事業者のセンスウェイ(東京都中央区)と共同で展開する。東京・日本橋のビルに導入したスマートメーターから発信される検針データを、三井不動産が管理する日本橋三井タワーに設置されたゲートウエーというアンテナ設備で受信しクラウド上に集約。パソコンやタブレットで確認できるようにする。

 従来は月1回の割合でビル管理者が行っていた検針作業の手間を軽減するとともに正確性の向上につなげる。またテナントへのサービスとして1時間単位での電気使用量を可視化する。9月から3カ月間にわたって行う検証を踏まえ、全国のビルで展開する計画だ。

 他のデベロッパーなどもIoTを利用した環境対策を進めている。東急不動産は2019年3月完成予定の21階建てオフィスビル「(仮称)南平台プロジェクト」(東京都渋谷区)で、自席周辺の温度を確認しスマートフォンやパソコンで温度を変更し電気使用量を抑制できるようにする。ポラスグループは千葉県船橋市で、91棟からなるIoT分譲地を開発。街区全体の温度管理などに取り組むことでCO2削減につなげる。