大陽日酸、欧州産業ガス事業買収 6400億円 日本の化学メーカーで最大

 三菱ケミカルホールディングス傘下で産業ガスを手掛ける大陽日酸は5日、同業の米プラクスエアから欧州事業の一部を買収すると発表した。買収額は約50億ユーロ(約6438億円)。日本の化学メーカーによる海外企業買収で過去最大規模の案件となる。

 産業ガスは、鉄鋼や半導体など幅広い製品の生産現場で使われる。大陽日酸は世界5位で、事業範囲は北米やアジアに限られていたが、買収を機に、北米に次いで大きな欧州の産業ガス市場へ参入し、海外事業を拡大する。これまで欧州は現地大手が強く、進出が難しかった。

 買収の対象は、プラクスエアの欧州事業のうち、ドイツやスペインなど9カ国の産業ガス事業と、英国やアイルランドなど4カ国の関連事業で、合計の売上高は約1650億円。大陽日酸は11月にも事業会社の株式を取得する計画で、買収資金は金融機関からの借り入れや社債発行で賄う方針。

 大陽日酸は長期の経営目標として売上高1兆円を掲げている。2018年3月期の連結売上高は6462億円で、買収により目標実現に近づく。19年3月期業績への影響は、手続き完了後に公表する。

 プラクスエアは世界3位の産業ガスメーカー。6月に同2位の独リンデと合併で合意したものの、独占禁止法に関する欧州当局の審査で欧州事業の一部売却を求められたため、大陽日酸による買収が可能になった。