出光・昭和シェル統合、村上氏まとめ役 「名を捨て実を取る」戦略で最大手追撃へ (1/2ページ)

握手を交わす(左から)昭和シェル石油の亀岡剛社長と出光興産の月岡隆会長=10日、東京都千代田区
握手を交わす(左から)昭和シェル石油の亀岡剛社長と出光興産の月岡隆会長=10日、東京都千代田区【拡大】

  • 会見する出光興産の月岡隆会長=10日午前、東京都千代田区(三尾郁恵撮影)
  • 村上世彰氏(村上財団提供)

 約2年にわたる出光興産と出光創業家の対立が解消に向かい、出光と昭和シェルは来春の経営統合にめどをつけた。膠着(こうちゃく)状態を打開した水面下では、投資家で「物言う株主」として知られる村上世彰氏が動いた。統合実現がもたついた中、ガソリンなどの燃料油で国内販売シェア50%を握る最大手のJXTGホールディングス(HD)を追撃できるか、手腕が問われる。

 際どい共通解探し

 両社は株式交換により、出光が昭シェルの全株式を取得して完全子会社化する道を選んだ。形式上は出光が昭シェルを傘下に収めるが、10日に記者会見した出光の月岡隆会長は「実質が大事だ。形式にとらわれることなく新会社がスタートしていける」と強調。昭シェルの亀岡剛社長も「目的は統合ではなく強い会社を作ることだ」と応じた。

 代表権を持つ取締役も出光と昭シェルから2人ずつ出す。亀岡氏は「両社から取締役や部室長などをフェアな形で出す」と述べた。

 一時は没交渉となっていた出光と創業家の協議は今年4月に再開。この数カ月は出光と創業家、昭シェルの三者が折り合える際どい「共通解」探しだった。月岡氏は「統合に向けてさまざまな選択肢がある中で、三者が合意できることを模索して、最善の形が株式交換だった」と強調する。

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