しかも、折り畳めばその隙間に雨水がたまりやすい。となれば、錆の心配をせねばならない。防錆処理も必要になってくる。カッコイイことはわかっていても、コストという壁を乗り越えられず、爪を折らずにこれまでやってきたのである。
かつて韓国ヒュンダイが開発した小型セダンの「ソナタ」は、スタイルが整っており人気モデルとなった。そのモデルはふんばり感が強調されていた。僕はそっと、フェンダーの折り返しに手を触れてみて納得した。小さく折り畳まれていたのだ。
ソナタが防錆処理されていたのかは不明だが、そんなささやかな処理がクルマの印象を大きく変えるものだと納得した経験がある。
新型カローラは、ユーザー層の大幅な若返りを期待している。そのためには、1円のコスト低減よりも、2ミリのふんばり感を優先した。かつてのトヨタではできなかった大英断だ。
そう、されど2ミリ。だがその2ミリが持つ意味は大きいのだ。
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【木下隆之のクルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は隔週金曜日。
【プロフィル】木下隆之(きのした・たかゆき)
レーシングドライバー 自動車評論家
ブランドアドバイザー ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。